マクロ経済学の最初に必ず習う「45度線分析(45度線モデル)」。
このシリーズでは、教科書や大学の授業でなんだかよくわからなかった人向けに、45度線分析についてわかりやすく解説します。
まずは、45度線とはそもそも何なのか?何のために行うものなのか? 意味や目的について解説します。
45度線分析とは?
45度線分析(45度線モデル)は、その国のGDP(国民所得)がどう決まるのかを明らかにする分析です。
以下の図のように、
- 横軸が「国民所得」
- 縦軸が「総供給と総需要の国民所得(Ys,Yd)」
- 「45度線分析」の名前の由来になった「45度線」
- もう少し浅い角度の「総需要曲線」
から成るグラフです。

GDPの定義とは異なる
GDPは「総生産額から中間生産物を引いた額」と習います。
これはGDPの「定義」です。
45度線分析ではそう定義されたGDPの「値」がどう決まるのかを求めるためのものです。
45度線分析は、大学や公務員試験などで、しばしば計算問題になるので、計算に着目しがちになります。
ですが、この「何のために45度線分析をするのか」が理解できていることは、問題を解いている際に迷子にならないためにも重要なので覚えておいてください。
45度線分析でのGDPは「国民所得」とも呼ばれる
45度線分析では「GDP」の値を求めますが、これを「総所得」とか「国民所得」と呼ぶこともあります。
おかしいですよね。だって、GDPは「国内総生産」であり、国民所得はGNIというはずです。
でも実はこれ、深い理由はありません(!)
45度線分析の目的は、GDPの統計上の数値を求めることではなくて、一国の経済の豊かさがどう決まるのかを求めることです。
なので、求められるモノがGDPであろうがGNIであろうが、総所得だろうが国民所得だろうがどちらでもいいのです。
そのため、「GDP」や「国民所得」という言葉が当てられますが、全て同じ意味ですのでそのつもりで見てみましょう。
なお、当サイトでは「国民所得」と呼称します。
45度線分析の意味・目的
それでは、45度線分析の目的「その国の国民所得がどう決まるのか」をもっと掘り下げてみましょう。
国民所得はどうやって決まるのか?
日本の2025年のGDP(国民所得)は名目で約650兆円。アメリカは約4000兆円です。
こうした数字は、GDPの定義に基づいて統計上の数字です。
45度線分析は、このGDPがどういうメカニズムで決まるのかを明らかにすることが目的です。
例えば、自動車の価格や生産量はどう決まるか考えたときに、以下のように…
- トヨタのアルファードは500万円
- ホンダのステップワゴンは400万円
など、個別の価格の平均や販売数量を合計すれば、自動車の平均価格や生産量がわかります。
しかしこれは、統計的に自動車の価格を導き出しただけです。
ここで求めたいのは、自動車の価格や生産量が経済学的にどのようなメカニズムで決定されたかです。
自動車のような個別の財・サービスの場合、ミクロ経済学では「高すぎると売れず、安すぎると採算が合わない。だから見えざる手に導かれるように価格がちょうどよいところに調整される」と習いますね。
多少乱暴ですが、これのマクロ経済学版だと思えばよいでしょう。
同じように、「どんな理由・メカニズムがあって日本の国民所得は650兆円なのか?」。
こうした「GDP(国民所得)の決定メカニズムを知ること」が45度線分析の目的です。
国民所得決定のメカニズムを知る意味
こんなこと、多くの人は考えたこともなかったと思います。
しかし、GDP(国民所得)が国の豊かさを測る指標にする以上、経済学も政治家もこの国民所得がどのようなメカニズムで決まっていくのかを知る必要があります。
例えば、よく不景気時には「財政支出をしよう」と言われますが、国民所得がどのような理由で決定されるのかがわからなければ、何にいくら使うかも判断できないからです。
このように、国民所得が決定する経済学上のメカニズムを明らかにし、場合によってはそのコントロールをしようとするために45度線分析を行います。
45度線分析での国民所得の求め方
実際に45度線分析を行って国民所得を求めてみましょう。
45度線分析でわかる国民所得を、均衡国民所得(均衡GDP)と言います。
そして、結論から言うと、45度線分析における国民所得は、45度線と総需要曲線の交点で決まります。

ミクロ経済学の「供給曲線と需要曲線の交点で価格が決まる」と考え方は同じです。
「なんだ簡単だなぁ…」
と思うかもしれませんが、じゃぁそもそも「45度線とは何でしょう?」、「総需要曲線とクロスしていることに何の意味が?」等と聞かれると答えられないですよね?
そう、この結論に至るためには、以下の要点を理解できている必要があります。
では、具体的にこれら45度線分析の中身については、次以降の記事で説明します。
>次記事の記事(グラフの書き方)はこちら

【参考文献】
- 吉川 洋『マクロ経済学 第4版(現代経済学入門)』岩波書店、2017
- 福田 慎一、照山 博司『マクロ経済学・入門 第6版(有斐閣アルマ)』有斐閣、2023


