均衡GDPの求め方|45度線分析の計算問題をわかりやすく解説【第4回】

45度線モデルでの均衡国民所得の求め方のMV マクロ経済

大学の経済学部の最初の方で習う「均衡GDP」。均衡国民所得とも言います。

なんか数字だけ与えられたけど、「どうやって解けばいいかわからない」とか、むしろ「何をやらされているのかわからない」人も多いのではないでしょうか?

本記事では、均衡GDPの求め方についてわかりやすく解説します!

均衡GDPとは

均衡GDPとは、一国の中で超過需要も超過供給も発生していない安定した状態で生み出せるGDPのことを言います。
ほかに「均衡国民所得」とも言いますが、同じ意味です。

GDPが均衡しているとは、その国で超過需要も超過供給もない状態です。

例えば、その国の国民の全員で、車を合計1000台欲していた時、工場もちょうど1000台生産していた時、GDPは車1000台で均衡しています

車1台100万円なら、均衡GDPの金額は10億円です。

均衡GDPの求め方

では、実際に均衡GDPの求め方を考えましょう。

大学の授業などでは、典型的な問題として、均衡GDPはよく以下のように出題されます。

Q 閉鎖経済のある国のマクロ経済が次のモデルで与えられているとき、均衡GDPを求めよ。

 Y=C+I+G+Ex-Im
 C=20+0.6(Y-T)
 T=0.2Y
 I=100
 G=140

Y:国民所得、C:消費、I:投資、G:政府支出、T:税収、Ex:輸出、Im:輸入

均衡GDPの問題の解き方

複雑そうな問題に見えますが、与えられた数字を記号に代入して方程式を解くだけです。

  1. Y=C+I+G+Ex-Imに、その下の数値を代入
  2. 結果… Y=20+0.6(Y-T)+100+140
  3. これを解くだけ(以下)
  4. Y=0.6Y-0.6(0.2Y)+260
  5. Y=0.48Y+260
  6. Y=500

捕捉ですが、問題に、閉鎖経済のとありますね。これは「貿易を一切行わない国」という意味です。だから、輸出と輸入を表すExとImは「ゼロ(0)」になります。そのため、2.ではExとImに相当する数字は入りません。

以上となります。6.のようにY=500なので、均衡GDPは500になります。

このように、中学数学と同じで、例えば、「Y=3x+2のときxが4の場合のYの値を求めよ」と言っているのと同じです。

なぜ計算がとても単純なのか

大学の数学問題ともなると複雑な公式や計算が求められそうな気がしますね。しかし、均衡GDPを求める問題では、そのような複雑な数学知識は不要です。

なぜなら、このような問題は、出題者が「GDPと、国内消費、投資などの関係がわかっているか」を問いたいために出題されるもので、数学知識を問いたいわけではないからです。

そのため、初歩的な方程式の解き方と四則演算ができれば解けます

均衡GDPの問題で問われていること

まず、均衡GDPの問題は45度線モデルというマクロ経済学の初歩でならうモデルを利用しています。

45度線モデルというのは、一国のGDPがどのように決定されるのかを表すのに使用されるモデルです。

詳しくは、次の記事に詳しく書いてありますので、詳しく知りたい方は読んでみてください。

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供給側のGDP=需要側のGDPとなる点を探すゲーム

均衡GDPとは、超過需要や超過供給が発生していない安定したGDPだといいました。

つまり、数式で表せば、供給側のGDP=需要側のGDPということです。

「供給側のGDP」とか「需要側のGDP」というのは、想像しにくいですが、冒頭のイラストのように「その国の生産量の合計」と、「その国の需要の合計」くらいに考えておけばOKです。

▼再掲

これが均衡、つまりどっちの数字も同じになる点を探すのが「均衡GDP」の問題です。

45度線で表す

これを45度線で表すとこうなります。

ここで、供給側のGDPは45度線であるYs=Yであり、需要側のGDPは「総需要曲線」であるYd=C+I+G+Ex-Imです。

なぜ45度線が「供給側のGDPになるのか?」、「総需要曲線がなぜこの式になるのか?」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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45度線上の均衡点を探す

均衡GDPは、供給側のGDP=需要側のGDPになるところです。これ、45度線のグラフで言えば、45度線(≒総供給曲線)と、総需要曲線の交わっている部分になります。

つまり、総供給曲線はYs=Y、総需要曲線はYd=C+I+G+Ex-Imなのですが、YsとYdが同じ値になる…Ys=Ydということなので、総需要曲線YdのところにYs=Yを代入して、Y=C+I+G+Ex-Imになります。

この辺の説明を問題では大きく省いているので、急に「Y=C+I+G+Ex-Im」という式が出てくるのですが、左辺と右辺には、実はこういう意味があったということです。

ちなみに、これが
Y>C+I+G+Ex-Imなら超過供給
Y<C+I+G+Ex-Imなら超過需要
となります。

45度線は「単純」を極めたGDPの式

実は、実際のGDPはもっと複雑です。

投資や消費もこんな一次関数で表せられるほど単純ではありません。実際の現実世界通りの総需要曲線を考える場合は微分積分や対数など、様々な数学技術を利用する必要があります

そのため、45度線モデルは現実のマクロ経済をかなり単純化して考えています。

ただ、経済モデルは、いきなり現実に近い複雑なものにすると、それぞれのパラメータ(消費や投資など)の役割がよくわからなくなってしまいます。

これは地図の思想と同じです。地図も道がわかればよいので、実際には街路樹が植わっているとか、字面がひび割れているといった細かな情報は無視されていますよね。

45度線も、まずは消費や投資の増減が全体のGDPにどのような影響を与えるかを明らかにするために敢えて単純化しているというわけです。

次の記事では、45度線のシフトやGDPギャップ等の問題と解説を書きたいと思います。