入院時食事療養費とは?わかりやすく解説

社会保険関係

健康保険の入院時食事療養費について、わかりやすく解説します。似たような入院時生活療養費との違いも同時に解説します。

入院時食事療養費とは?

入院時食事療養費とは、健康保険制度の給付の種類の一つです。

入院時食事療養費は、
入院した際食費の健康保険負担分です。

被保険者(入院している人)は、入院中の食事は、「食事療養標準負担額」と呼ばれる自己負担分を負担するだけです。

残りの分は入院時食事療養費として健康保険から給付されます。
給付は現物給付のため、窓口等での支払いは必要ありません。

健康保険って治療関係の費用以外支払われない印象があるので、
「食費も支払われるんだ」
と、意外に思われる方もいるかもしれません。

つまり、入院中は、治療にかかる①療養の費用+自己負担と、食事にかかる②入院時食事療養費+自己負担の費用がかかるということです。

自己負担分は当然、医療機関の窓口で支払います。

食事の自己負担分(食事療養標準負担額)の額

被保険者(入院している人)が自己負担する食事療養標準負担額の金額は、以下の通りとなります。

所得区分自己負担額
(食事療養標準負担額)
一般の所得者1食510円
低所得者 区分2
(住民税非課税世帯)
1食240円(190円)
低所得者 区分1
(70歳以上で判定基準所得のない者)
1食110円

(注)

  • ①「小児慢性特定疾病」の児童等、②「指定難病」の患者で一般の所得者は300円です。
  • ( )は入院日数が90日を超える者です。
  • 「判定基準所得」は、総所得から必要経費・法定控除を引いて山林所得を足したもの

入院時食事療養費等の額の決まり方

自己負担額となる「食事療養標準負担額」も、給付される「入院時食事療養費」も、事業者や保険者が勝手に決めることはできず、厚生労働大臣が決定します。

具体的には、健康保険法(第85条)によって規定され、その具体額は厚生労働省告示によって定められています。

入院時食事療養費の額

まず、入院時食事療養費の額は、以下の通りです。

▼入院時食事療養費
食事療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から、食事療養標準負担額を引いた(控除した)額

要するに、太字部分は、社会常識的な食費(ただし医療的に必要な食事メニュー)のことです。

そして、入院した病院の実際の食費が、その社会常識的な食費より安ければ、実際の食費が採用されます(カッコ書きの部分)。

これだけ長いと完全にわかりやすくするのは難しいですが、極力わかりやすく図で表すと次のようになります。

食事療養標準負担額(食費の自己負担分)

食事療養標準負担額は、以下のように決められています。

▼食事療養標準負担額
平均的な家計における食費の状況及び特定介護保険施設等における食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額)

こちらも要するに「社会常識的な食費」です。

入院時食事療養費のときとの違いは「療養」ではなく普通の生活でかかる食費の平均額ということです。

入院時生活療養費との違い

入院時食事療養費と似た名称の給付に「入院時生活療養費」というものがあります。

これは、65歳以上の療養病床という長期入院を目的として施設に入院している人が受けることのできる給付です。
そして、食費だけでなく、居住費もその費用に含まれています。

要件入院時食事療養費入院時生活療養費
年齢65歳未満65歳以上
入院場所一般病床療養病床
支給される
費用
食費食費+居住費
患者の種類入院する被保険者特定長期入院被保険者

なお、正確には、65歳以上の「特定長期入院被保険者」が受けられるもので、療養病床に入る場合という違いがあります。

なぜ居住費が含まれるのか

入院時生活療養費の対象は、65歳以上で療養病床に入院する患者です。

療養病床は急性期の治療を行う病床ではなく、長期間の療養や介護に近い性格を持っています(出典)

そのため、

  • 食事
  • 居住(光熱水費など)

は、本来在宅で生活していても必要になるために、支給が行われます。

一方、入院時食事療養費の患者は、一般病棟に入院します。

  • 治療のために病院にいる
  • 年齢が若く退院も早い
  • 住居として病院を利用しているわけではない

ため、居住費までは考えられていないのです。

入院時生活療養費等の額

入院時生活療養費の額は、社会常識的な生活費から、自己負担分生活療養標準負担額を引いた額になります。

この入院時生活療養費は健康保険から現物給付されます。

これらの基本的な考え方は入院時食事療養費と同じです。

では最後に、自己負担分となる生活療養標準負担額を見てみましょう。

所得区分自己負担額
(生活療養標準負担額)
居住費一律370円(1日分)
①保険医療機関(Ⅰ)に入院1食510円
②保険医療機関(Ⅱ)に入院1食470円
③市町村民税非課税1食240円
④70歳以上で判定基準所得のない者1食140円

(注)

  • 指定難病の患者の場合、居住費は0円、食費は①②は300円になります。
  • ③で入院医療の必要性の高い者、指定難病者は190円になります。
  • ④で入院医療の必要性の高い者、指定難病者は110円になります。