「ケアマネジャーはアセスメントが大事」とはいったものの、どうすればよいのか判然としないですよね。
そこで、ケアマネジャーのアセスメントについて、わかりやすく解説します。
アセスメントとは
アセスメントとは、利用者の「生活課題」となっていることの原因を把握することです。
生活課題とは、
- 起き上がれなくて困っている
- 買い物にいけなくて困っている
- 施設に行きたくない
こういった利用者の希望する暮らしを阻む困りごとのことですが、
このように、「生活課題」が生じている「原因」を把握する(分析する)のが「アセスメント」です。
厚生労働省の運営基準に関する解釈通知についてもアセスメント(課題分析)について次の言及があります。
⑥ 課題分析の実施(抄)
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(抄)
課題分析とは、…利用者が生活の質を維持・向上させていく上で生じている問題点を明らかにし、利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握すること
ケアマネジメント上のアセスメント
ケアマネジメントプロセスのなかで、アセスメントは「プランニング」の前に位置づいてます。
◎ケアマネジメントプロセス◎
1)インテーク(初回面接)
2)アセスメント
3)プランニング
4)モニタリング
5)再アセスメント
これは、支援の計画を立てるためには、利用者の困りごとの原因を把握しなければならないからです。
ケアマネジャーは利用者の介護計画を作る仕事であるため、効果的な計画を立てるためには、アセスメントは大変重要な工程なのです。
「原因を把握」するとは
どのような出来事も、原因があってその結果が生じています。
ですから、この原因を突き止めなければ、結果を変えることができません。
例えば、煙が立っているところで、煙の原因となる火元を絶たなければ、煙をいくら払っても無駄ですよね。
アセスメントでも、困りごと(入浴ができないなど)の原因(変形性質関節症で膝が痛いから)を探し出さなければ、適切な対応ができません。

アセスメントの方法
アセスメントは、次の手順で行います。
- 情報収集・整理
- 情報分析1…原因の追究
- 情報分析2…生活課題・原因の抽出
アセスメントはいろいろな手法がある
アセスメントにはいろいろな手法があります。
日本介護福祉士会方式、高室式、アローチャート、奥村式…
いろいろな書籍や研修で学べるので、自己研鑽の一環で調べてみるのもよいでしょう。
ただ、どれも、法律や学会で「これがいい」とされているやり方はありません。
(しかも、それぞれが業界内で「流派」をもってせめぎ合いをしているような状況ですから、こういった中立をうたうサイトではとりわけ何かを詳しく取り上げるようなことは珍しいです)
大切なのは、適切な支援方法を導き出せるアセスメントができるかどうかです。「どのアセスメント手法がよいか」ではなく、「どのアセスメント手法が自分に合っているか」で選ぶとよいでしょう。
1 情報収集・整理
原因を分析するには、そもそもその情報がないと始まりません。
情報収集では利用者の暮らしぶり、病気や身体情報などを把握します。
また、「どのような暮らしをしていきたいか」といった「生活の希望」も把握します。
情報の収集の仕方は自由です。しかし、情報の抜け漏れを起こさないよう、ケアマネジャーのアセスメントですと、課題分析標準項目と呼ばれる23項目にのっとって情報収集を行うことが一般的です。
▼課題分析標準項目(23項目)

申し上げた通り情報収集は「必ずこの方法でやらなければならない」わけではないため、やりやすい方法で行いましょう。
似たような情報整理のやり方として、ICFを使う方法もあります。

課題分析医標準項目やICFの分類で情報を収集することが、そのまま情報の整理にもつながります。
情報収集のコツ
情報収集は、引き継ぐ場合には病院や市町村、地域包括支援センターからのアセスメントシートをもらう方法のほか、対面で直接利用者から話を聞き取るなどして集めます。
対面で行う場合、利用者がケアマネジャーに何でも話せるような雰囲気づくりを行うのが大事です。
といった、コミュニケーションの基本は大事です。
特に「笑顔」と「波長合わせ」は大変重要です。
例えば、早く終わらせようとテキパキしすぎるのはダメ。ニッコリしましょう。
一方で、相手が深刻な表情をしているのに波長を合わせずにニコニコしたりするとかえって不信感を募らせてしまいます。
介護福祉士のときに習得した「コミュニケーション技術」や「バイステックの七原則」を守っていることが大変重要です。
2 情報分析(原因の追究)
情報分析は、集めた情報から現状の困りごとの原因を突き止める作業です。
抽象的で、最もケアマネジャーを困らせている部分でもあります。ですが、やり方そのものは簡単です。
- 本人の希望する生活を確認する
- その生活の妨げとなる事象を発見する
- その事象を引き起こしている事象を発見する
- その事象を引き起こしている事象を発見する
- その事象を…(これ以上掘り下げられないところまで続ける)
例えば「極力一人暮らしを続けていきたい」というのが①希望する生活であれば、それを妨げる原因は「②1人で食事を用意できない」になります。
当然、食事が用意できないのは
「調理ができない」からで、なぜ調理ができないかといえば
「長く立っていられなくて…」、なぜ長く立っていられないのかといえば、
「膝が痛くて」で、それは
「変形性質関節症があって」
と、続きます。
変形性質関節症は手術をしない限りは保存療法にとどまるので、原因はこれになります。
このように原因から原因をたどれば、本人に根ざすいくつか同一の原因が出てくるはずです。それがとりあえずの本質的な原因に近いと考えられます。
情報分析(アセスメント)のコツ
情報分析のコツは次の2点です
とにかく情報収集をする
情報収集は情報分析のためにとても重要です。
「泣いている子どもにどう声をかける?」
と聞かれたときに、スパっと回答を出せる人はいませんよね。ですが、
「ママとはぐれてしまって泣いている子どもにどう声をかける?もう3~4時間は歩きとおしでおなかも空いてくたびれているようだ」
などと、情報が加わると、途端に「何をすべきかどうか」がはっきりしてきます。
利用者のアセスメントも、「どういう支援を当てはめればよいかわからない」と思ったら、とにかく追加で利用者や家族に話を聞きに行ったり、医学や福祉の知識を調べてみたりと情報収集することで突破口が開ける場合があります。
慣れる・人に聞く
原因分析は一人でむんむんと行っていると壁にぶつかって答えがでなくなります。
そういう時は思い切って、上司や先輩に助言を求めましょう。
自分とは違う支援者に接してきた経験から、思わぬ原因や支援方法を聞けるかもしれません。個人情報の漏洩にはご注意を。
あとは慣れるしかありません。おいしいレシピがわかっても経験がないと上手に作れないのと同じように、アセスメントも何度も何度も行って「ケアマネのカン」を醸成するしかありません。
おすすめの書籍などもありますので自己鍛錬に励みましょう。
アセスメントのおすすめ書籍
情報収集
情報収集においてケアマネ関係の書籍って実はあまりありません。しかし対人援助というくくりで行くと、いくつかの素晴らしい書籍が存在します。それがこの『対人援助の現場で使える 聴く・伝える・共感する技術 便利帖』。
相手に安心してもらうためのいわゆるコミュニケーション技術について、わかりやすく要点が表や図で表現されていて、理解しやすく作られています。事例も載っているため実践でどのように応用するか藻想像しやすいです。
情報分析
情報分析において抜群にお勧めしたいのは『アセスメントに自信がもてる! アローチャートガイド』。いわゆる「アセスメントの情報分析」の方法をめちゃくちゃ明快に説明してくれています。
アローチャートとは「アロー(矢印)」を使った「チャート」のこと。集めた利用者の情報から『原因と思う情報→結果と思う情報』と、因果関係を矢印で結んでいくだけです(例:認知症→見当識障害→ここがどこかわからない→不安→帰宅願望が出る)。
こんな簡単?と思うかもしれませんが、複雑な利用者の情報を図でシンプルに表すと、直感的に理解しやすく、先ほどのこのサイトの説明の何百倍もわかりやすくなります(苦笑
ケアマネはアセスメント不足?
「ケアマネジャーのケアプランにはアセスメントが足りていない」という指摘が前々からなされています。
特に2013年に厚生労働省の内部に作られた介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会という仰々しい検討会がまとめた『中間的な整理』という報告書には以下のように書かれています。
利用者像や課題に応じた適切なアセスメント(課題把握)が必ずしも十分でない
厚生労働省『介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会における議論の中間的な整理』2013年
実際、どんな利用者でも内容が同じ「金太郎飴プラン」とか、利用者の言いたいことにただ従っただけの「御用聞きプラン」などと揶揄されるプランが多く、ケアマネ不要論やケアマネ有料論が言われている原因の一つになっています。
2013年とかなり前の報告書ですが、今でも問題意識は共有されています。
もちろん、素人にはとてもマネできない素晴らしいプランを作成しているケアマネジャーも多くいらっしゃいますが、「能力不足」の指摘が国単位でされてしまっているということは知っておいてよいでしょう
アセスメントに生成AIは使えるか?
ケアマネジャーのアセスメントに生成AIを利用するのは非常に有効な手段です。
2025年くらいからAIの機能も急速に発達して、ハルシネーション(存在しないことや誤りであることを隠してしまう現象)もかなり減りました。
ただし、生成AIの活用には次の注意点があります。
個人情報は書かない
生成AIは入力された情報を次の使用者の入力の回答の参考に使用します。
そのため、個人利用している生成AIへ利用者の個人情報を書くことは絶対にダメです。個人情報を取得しない設定にしていたとしても、控えましょう。
特に医療や介護に関する情報には重い罰則のある要配慮個人情報も含まれますので注意しましょう。
所属する会社や事業所が許可している場合がありますので、そちらを利用するようにしましょう。
自分でチェックする
どんなに生成AIが良いプランを提案してきたとしても、そのプランの責任者はケアマネジャー本人です。
AIに出力させたものをそのまま使うのではなく、必ず適切かどうか自身で検討したうえで利用者に提案しましょう。
結局のところ、生成AIの活用では、
アセスメント・プランニングの手間を省ける
のではなく、
書類への記入やアセスメント・プランニングを0→1にする手間の省力化
するにすぎません。
出されたものが適切かどうかを判定し、修正するアセスメント力は変わらず持ち続けなければならないのです。




