地域支援事業は、介護保険制度で重要な事業です。
ケアマネジャー試験を受ける方にとっても頻出です。
筆者(ケアマネジャー試験対策書籍を出す会社で10年間働いていた)が、本音も踏まえてわかりやすく解説します!
地域支援事業とは
地域支援事業とは、介護保険制度下で国や市区町村が行う福祉事業の一つです。
主に、以下の特徴があります。
地域支援事業は、「いくつもの事業をひとまとめ」とあるように、大きく分けて3つの事業から成り立つ事業です。
具体的には市区町村が主体に、以下のような中身になっています。(詳しい中身は後で解説します)

なお、地域支援事業は介護保険法上の制度であり、以下のように規定されています。
(地域支援事業)
介護保険法(平成9年法律第123号)
第115条の45 市町村は、被保険者(略)の要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止及び地域における自立した日常生活の支援のための施策を総合的かつ一体的に行うため、厚生労働省令で定める基準に従って、地域支援事業として、次に掲げる事業(以下「介護予防・日常生活支援総合事業」という。)を行うものとする。
なぜ地域支援事業が必要なのか?
なぜ地域支援事業が必要とされているのでしょうか?
その背景には、高齢化で高齢者が増えていくことにあります。
高齢者が増えて、寝たきりが爆増する…などとなれば、不幸な人が増えるでしょう。
そうならないように、介護を必要としない人や介護が必要でも自分らしく幸せに暮らせる人を増やせるように、それらを支援する地域支援事業が創設されたのです。
なぜ「地域」なのか?
なぜこれらの支援をする事業が「介護予防支援事業」などではなく「地域」支援事業なのでしょう?
それは、施設や病院に移ってしまうことではなく、住み慣れた場所で暮らせることが、高齢者の穏やかな日常を守ることにつながるからです。
高齢者の多くは何十年も、引っ越さず自宅、地域に住み続けてきた人たちばかりです。
介護が必要になったとき、そんな住み慣れた場所から急に施設や病院で暮らすことになれば、ショックは計り知れませんね。
このような事態をなるべく作らないように、
「できるだけ住み慣れた地域で自分らしく暮らせる」状態を支援する
という目的があるからこそ、地域支援事業の名称に「地域」の名がついているのです。
これは、いわゆる「地域包括ケアシステム」を推し進める主要事業となりす。
※地域包括ケアシステムに関しては次の記事をご覧ください。

地域支援事業の本音は…
地域支援事業の行政上の本音に近い理由は、ひっ迫する介護保険財政と、不足する介護人材への対応にあります。
高齢化で高齢者の絶対数が増えています。
その中で、少しでも介護費用のかからない状態にしようと編み出された側面もあります。
ただ、地域支援事業は実現すれば、高齢者にも大きなメリットのある事業です。
むしろ、「介護保険財政がひっ迫しているから」と、
単純に介護費用を削るだけであれば、困る人が増えて状況はより悪化するでしょう。

批判はいろいろありますが、「取りこぼしが起こらないように」考えられてはいるのです。
地域支援事業の中身
では、実際の地域支援事業の中身をみていきましょう。
地域支援事業の3つの事業
地域支援事業は、3つの事業で構成されています。(図再掲)

これらを簡単に解説します。
①介護予防・日常生活支援総合事業
介護予防・日常生活支援総合事業(いわゆる「総合事業」)は、介護サービスをより軽度の人にも行う事業です。
その下に2つの事業があり、その下にさらに9つの事業で構成されています。
ほとんどが要介護者向けのサービスに似ています。
実際、2015年に第1号訪問・通所事業が「介護予防訪問介護/通所介護」から移行してきたものになります。
これらは、費用削減と重度化予防の観点から総合事業に移行した背景があります。
総合事業について詳しくは、こちらの記事もご覧ください。

②包括的支援事業
包括的支援事業は地域包括ケアシステムの「近所づきあい的なつながり」を強化する…中核的な役割を担う事業です。
その拠点として「地域包括支援センター」という機関を各所に配置しています。
これらはいわゆる地域の介護力UPなどの事業を行います。
包括的支援事業は以下のように4つの事業・業務がぶら下がっています。
包括的支援事業のポイントは地域包括支援センターを創設させたということ。
また、介護予防や地域福祉に関するあらゆる運営を地域包括支援センターが行うという2点があります。
いずれも「地域包括支援センターが主役の事業」ということです。
③任意事業
任意事業は名前の通り「任意(やってもやらなくても自由)」の事業です。
任意事業は介護保険制度の保険者、つまり市町村が運営主体です(ちなみに、総合事業と包括的支援事業は民間や社会福祉法人、そして地域包括支援センターが実施主体)。
運営主体が市町村であるため、総合事業等と比べ、あまり利用者が登場しません。
任意事業では、地域の特性(※)で取るべき対処が異なっており、事業の内容を一律に国が決めると逆に無理や無駄が起こることがあります。
※地域の特性
例えば、市町村ごとにケアマネジャーの充足度が違ったり、気候や風土が違ったりします。雪の降る地域と降らない地域では冬の過ごし方は変わるでしょう。自治会レベルだと性格の差が影響することもあります。高齢化率などの人口構造も異なります。
そのために任意として実施の自由や裁量がある程度市町村に任されています。
地域支援事業の利用料と財源構成
地域支援事業にも当然ながら費用は必要です。
では、その費用はどのようにねん出されているでしょうか?
地域支援事業の利用料
地域支援事業の利用者は、総合事業の「介護予防把握事業」にかかる費用を除き、地域支援事業の利用料を支払う必要があります。
利用料ははいくつもの事業からなりたっているため、実施する市区町村や事業ごとに利用料は異なります。
支払先は運営主体であり、
①市町村
②市町村から委託を受けた者
③総合事業の第1号事業の指定事業者
です。
地域支援事業の財源構成
地域支援事業の財源構成は以下の通りです。

それぞれ国や都道府県も拠出していますが、総合事業においては半分が利用者からの利用料になります。
また、包括的支援事業と任意事業については第2号被保険者からは料金を徴収しません。
今後も重視され続ける事業
地域支援事業は20の事業で構成される複雑な事業ですので、その詳細を一つひとつすぐに知ることはできません。
しかし、「介護予防」に重点が置かれた「地域主体の事業」という点、その理由が高齢者へのメリットだけでなく、介護費削減という行政的なメリットにも通じることを理解し、今後も注目・拡充され続けるであろうことを押さえておくと全体が見やすくなります。
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