大学の経済学部の最初の方で習う「均衡GDP」。均衡国民所得とも言います。
なんか数字だけ与えられたけど、「どうやって解けばいいかわからない」とか、「何をやらされているのかわからない」人も多いのではないでしょうか?
本記事では、均衡GDPの求め方についてわかりやすく解説します!
均衡GDPとは
均衡GDPとは、一国の中で超過需要も超過供給も発生していない安定した状態で生み出せるGDPのことです。
ほかに「均衡国民所得」とも言いますが、同じ意味です。
「一国の中で超過需要も超過供給もない安定した状態」というのは例えば、以下のような場合です。
その国の国民の全員で、
- 車を合計1000台欲している
- 工場もちょうど1000台生産している
この場合、GDPは車1000台で均衡しているといえます。

均衡GDPが求めるべきGDP
均衡GDPと言ったときは、その国の経済から計算できる求めるべき理論上のGDPということです。
なぜなら、均衡GDPでない場合、
- 超過需要が発生していれば、総供給を増やす(あるいは総需要が減る)
- 超過供給が発生していれば、総供給を減らす
など、GDPの値が安定しないからです。
例えば天ぷらを揚げるときの最適な温度を測る際に、加熱中の温度を測っても意味がありません。
温度が変化しない安定したところの温度を測る必要があります。
均衡GDPも基本的な考え方は同じです。
もちろん、加熱中の温度変化が知りたい!という場合もあります。
でも、「その国の経済の規模であるGDPを測りたい」と言う目的の場合は「変化中のGDP」ではなく、「均衡している安定したGDP」を求めます。
均衡GDPの求め方
では、実際に均衡GDPの求め方を考えましょう。
大学の授業などでは、典型的な問題として、均衡GDPは以下のように出題されます。
均衡GDPの問題の解き方
複雑そうな問題に見えますが、与えられた数字を記号に代入して方程式を解くだけです。
Y=C+I+G+Ex-Imに、与えられた数値を代入
数値を代入すると、以下の通りになります。
Y=20+0.6(Y-T)+100+140+0-0
捕捉ですが、問題に「閉鎖経済」のとあります。これは「貿易を一切行わない国」という意味です。
だから、輸出と輸入を表すExとImは「ゼロ(0)」になります。だから赤字の部分は0-0なのです。
あと、Tは0.2Yでしたね。なのでこれも代入しちゃいましょう。
Y=0.6Y-0.6(0.2Y)+260
右辺をまとめちゃいましょう。
Y=0.48Y+260
Y-0.48Y=260になりますね。そうすると、1Y-0.48Y=260なので…
0.52Y=260
お、ということは、
Y=500
以上となります。均衡GDPは500になります。
このように、中学数学と同じで、例えば、「Y=3x+2のときxが4の場合のYの値を求めよ」と言っているのと同じです。
なぜ計算がとても単純なのか
大学の数学問題ともなると複雑な公式や計算が求められそうな気がしますよね。
だから、計算自体がこんなに簡単だと、「本当にこれでよいの?」と不安になる人もいるのではないでしょうか。
しかし、そんな不安は不要です。「本当にこれでよい」のです!
なぜなら、均衡GDPを求める問題は、複雑な数学知識を問うものではないからです。
それよりも、「均衡GDPがどういうものか」「YやCなどを使って計算ができるか」がわかればよいのです。
そのため、初歩的な方程式の解き方と四則演算ができれば解けます。
均衡GDPの問題で問われていること
では、均衡GDPの問題で「私たちは何をやらされているのか」=均衡GDPがどういうものか、を解説します。
既に述べたように、
- 均衡GDPどういうものか
- YやCなどの記号を使って表現できるか
という2点を理解することが、均衡GDPの問題を解く目的です。
1)均衡GDPどういうものか
均衡GDPがどういうものかは、冒頭でも述べたとおり、総需要(のGDP)と総供給(のGDP)が一致するGDPでした。
つまり、数式で表せば、供給側のGDP=需要側のGDPということです。
「供給側のGDP」とか「需要側のGDP」というのは、想像しにくいですが、冒頭のイラストのように「その国の生産量の合計」と、「その国の需要の合計」くらいに考えておけばOKです。
▼再掲

これが均衡、つまりどっちの数字も同じになる点を探すのが「均衡GDP」の問題です。
2)YやCなどをつかって均衡点を探す
均衡GDPは、供給側のGDP=需要側のGDPになるところでした。
これを、「45度線」に登場する方程式で言えば、
- 供給側のGDP…Y=Ys
- 需要側のGDP…Yd=C+I+G+Ex-Im
ということですね。
供給側のGDPと需要側のGDPの式が上記のようになる意味が分からない方は、次の記事もご確認ください。

そして、この両者がイコールになるということは、45度線(≒総供給曲線)と、総需要曲線の交わっている部分が均衡GDPです。
グラフで表すとこういうことになります。

YsとYdが同じ値になる…Ys=Ydということは、総需要曲線YdのところにYs=Yを代入して、Y=C+I+G+Ex-Imになります。
この辺の説明を問題では大きく省いているので、急に「Y=C+I+G+Ex-Im」という式が出てくるのですが、左辺と右辺には、実はこういう意味があったということです。
ちなみに、これが
Y>C+I+G+Ex-Imなら超過供給
Y<C+I+G+Ex-Imなら超過需要
となります。
45度線については、以下に詳しく解説してありますので、「なんだったんだっけ?」と思った方は是非ご一読ください。

均衡GDPを求めるほかの計算問題
さて、余裕のある方は、ほかの問題にも挑戦してみましょう。
答えを解いてみてください。
答え
二回目なので、細かい途中式や説明は省略します。
Y=C+I+G+Ex-Im
Y=(80+0.75Y)+100+120+90−(40+0.10Y)
Y=350+0.65Y
0.35Y=350
Y=1000
【参考文献】
- 吉川 洋『マクロ経済学 第4版(現代経済学入門)』岩波書店、2017
- 福田 慎一、照山 博司『マクロ経済学・入門 第6版(有斐閣アルマ)』有斐閣、2023


